自分の取扱説明書の作り方
「自分の取扱説明書」「自分のトリセツ」は、面白系の自己紹介として作られることもありますが、 実際に役に立つのは渡す相手が決まっているときです。 上司との1on1、家族との会話、パートナーとのすり合わせ。 ここでは、読んだ相手が具体的に行動を変えられる書き方を、項目ごとに説明します。
自分の取扱説明書とは
自分の取扱説明書(自分のトリセツ)は、自分がどういう条件で動きやすく、どういう場面で消耗し、どう頼まれると助かるかを、他の人が読んで使える形にまとめた短い文書です。 家電の取扱説明書が「正しい使い方」と「避けたほうがよい使い方」を書いているのと同じで、「一緒に過ごす人のための使い方メモ」と考えると書きやすくなります。 「トリセツ」「取説」とも呼ばれますが、この記事では同じものとして扱います。
自己紹介や自己PRとの違いは、読んだ相手が何をすればよいかまで書くことです。 自己紹介は「私はこういう人です」で終わりますが、取扱説明書は「だから、こうしてもらえると助かります」まで進みます。 性格診断の結果とも違います。「内向的です」とだけ書いても、一人の時間が必要な人と、少人数なら話せる人とでは、相手に必要な行動が違います。 相手に必要なのはラベルではなく、具体的な条件です。
何のために作るか
誤解を減らすため。返信が遅くなると「怒っているのかな」と読まれる、口数が減ると「やる気がない」と受け取られる。 本人にとっては調子が落ちたときのいつもの動きでも、外からは別の意味に見えることがあります。先に書いておけば、相手は憶測ではなく書かれた内容を手がかりにできます。
毎回の説明を省くため。異動、転職、同居、新しいチームなど、人間関係が変わるたびに口頭で一から説明するのは負担です。一度書いておけば、相手に合わせて削って渡すだけで済みます。
頼みやすい関係にするため。「こう頼まれると動きやすい」と書いてあれば、相手は頼み方を選べます。書く側も、その場で言い出しにくい希望を伝えやすくなります。
書いたから関係が良くなると決まっているわけではありません。取扱説明書は、相手と話すためのきっかけと材料として使うものです。 書く過程で自分の消耗するパターンに気づくこともありますが、これも人によります。
書く6つの項目
項目は6つです。すべて埋める必要はなく、相手に必要なものだけ残します。穴埋めの形になったものは自分の取扱説明書テンプレートにあります。
1. 落ち着きやすい条件
どういう状況だと力を出しやすいか。「目的と期限が先に分かっていると動きやすい」「一度に一つずつ進められると安定する」のように、性格ではなく条件で書きます。
性格を語ろうとすると抽象的になります。環境の条件として書くと、相手がすぐ行動に移せます。
2. 負荷が上がりやすい場面
苦手なことではなく、負荷が上がる場面を書きます。「短時間で何度も方針が変わる」「曖昧な期待だけ渡される」など、相手が避けられる形にします。
「怒られるのが苦手」ではなく「強い言い方だと内容より温度感が気になる」。こう書くと、相手は言い方を変えるという具体的な行動を取れます。
3. ストレスのサインと戻り方
調子が落ちたときに外から見える変化(返信が遅くなる、口数が減る)と、回復に効くこと(一人で整理する時間、予定を減らす)を書きます。
これがあると、周囲は「怒っているのかな」と誤解せずに済みます。取扱説明書のなかで、いちばん誤解を減らす項目です。
4. 頼み方・伝え方の希望
どう依頼されると動きやすいか。「背景と優先順位をセットで」「口頭より文字で」など、相手の行動に翻訳できる粒度で書きます。
5. 大事にしている判断の軸
何を優先して選ぶ人なのか。ここが共有されていると、細かい指示がなくても判断が揃いやすくなります。
6. 相手ごとの出し分け
上司に渡すものと、パートナーに渡すものは同じではありません。全部を一枚にまとめず、相手ごとに必要な範囲だけを切り出すのがコツです。
全項目を誰にでも見せる形にすると、書く側が身構えて内容が薄くなります。
書くときのコツ
断定しない。「私はこういう人間です」と決めつけると、当てはまらない場面が出たときに使えなくなります。「〜のときは〜しやすい」と条件つきで書きます。
相手の行動に翻訳する。自分の内面の説明で終わらせず、「だからこうしてもらえると助かる」まで書きます。
短くする。渡された側が読み切れない分量だと使われません。相手ごとに5〜10行が目安です。
よくある失敗
性格の形容詞だけを並べる。「真面目」「マイペース」「繊細」だけでは、相手は何もできません。「手順が決まっていると速い」「予定が急に変わると立て直しに時間がかかる」のように、場面と条件に直します。
お願いだけが並ぶ。「〜しないでください」が続くと、読んだ側は身構えます。「こうしてもらえると、こう返せます」まで書くと、一方的な要求ではなく交換になります。
長くなりすぎる。A4で何枚にもなる取扱説明書は、渡した本人も見返しません。まず書き出し、渡す相手に必要な分だけを5〜10行に絞ります。
よく見せようとする、または自虐的になる。短所を長所に言い換えすぎると、自己PRになり、相手が使える情報が消えます。逆に「どうせ自分は」という書き方だと、相手は返しようがありません。起きていることを、淡々と事実で書くのがちょうどよいです。
一枚を全員に見せる。上司に必要な項目と、パートナーに必要な項目は違います。全員に見せられる内容にしようとすると、無難で薄い文章になります。
作ったあとの渡し方
相手と場面を先に決める。上司なら1on1の冒頭や、チームに加わって間もないとき。パートナーなら、落ち着いて話せる時間。言い争いの最中は避けます。家族には、帰省や電話など、普段から話す機会に合わせるのが自然です。
要求ではなく共有として渡す。たとえば「自分の動き方をまとめてみました。誤解を減らしたいので、読んでもらえますか。違うと思うところは教えてください」と一言添えます。相手が反応しやすくなり、書いたことが固定された約束にならずに済みます。
短い文面で渡す。チャットに貼る、紙に印刷して手渡す、口頭で要点だけ話す。どれでも構いません。相手別の書き方は、上司・1on1に渡す、恋人・パートナーに渡す、親・家族に渡すにまとめています。自己紹介の場なら自己紹介で使う、就活なら就活・ESで使うを参照してください。
渡したあとに見直す。数週間使ってみて、実際に役に立った行と、使われなかった行を分けます。使われなかった行は削るか、書き方を変えます。相手にも「こちらの使い方も教えてください」と聞くと、一方通行になりません。
診断で作る、自分で書く:2つの道
取扱説明書の作り方は、大きく2つあります。どちらを選んでも構いません。
自分で書く(テンプレート)
テンプレートの穴埋めに沿って、自分で埋めていく方法です。無料で、登録も要りません。 渡す相手と場面がはっきりしていて、うまくいった場面と消耗した場面を自分で思い出せる人に向いています。 ひとりで考えるための15の問いはワークシートにあります。
注意点は、自分で気づいている範囲に偏りやすいことです。周囲との差が出る部分ほど、当たり前だと思って書き漏らします。
診断で作る(Insight)
Personal Insight Report は、60問に答えると、性格・価値観・対人傾向・ストレス反応・仕事/学習スタイルを整理し、相手別(親・友人・教師・上司・パートナー・AI向け)の説明文までつくります。 無料で主要傾向3つと簡易サマリーまで確認でき、完全版は980円(買い切り・税込)、AI相談用データ付きは1,480円(買い切り・税込)です。 完成版と同じ構成のサンプルレポートは、全項目を無料で公開しています。質問から下書きを作る方法の詳しい説明は自分の取扱説明書を診断で作るにあります。
注意点は、回答から作る文章なので、職場や家庭ごとの個別の事情までは入らないことです。そのまま渡さず、相手に合わせて手を入れるのが前提です。 医療診断や採用判断のためのものではありません。
併用もできます。診断で材料を集めて、相手ごとに削り、自分の言葉で書き直す。あるいは先に自分で書いてみて、抜けているところを診断で確かめる。やりやすい順で進めてください。
よくある質問
- 自分の取扱説明書と自分のトリセツは違うものですか。
- 呼び方の違いで、中身は同じものとして扱えます。「取説」「トリセツ」とも呼ばれます。大事なのは呼び名ではなく、読んだ相手が何をすればよいか分かる形で書くことです。
- どれくらいの長さで書けばよいですか。
- 渡す相手ごとに5〜10行が目安です。全項目を一枚にまとめた長いものより、相手に必要な項目だけを残した短いもののほうが読まれます。
- 診断を使わず、自分だけで書けますか。
- 書けます。テンプレートの穴埋めに沿って、うまくいった場面と消耗した場面を思い出しながら書く方法があり、費用はかかりません。自分で気づきにくい部分が抜けやすい点だけ、意識しておくとよいです。
- 診断で作った説明文は、そのまま渡してよいですか。
- そのまま渡すことはできますが、渡す相手と場面に合わせて、必要な部分だけ残して言い回しを整えることをおすすめします。回答から作る文章には、職場や家庭ごとの個別の事情までは入らないためです。
- 診断の結果は、医療の診断や採用の判断に使えますか。
- 使えません。Personal Insight Report は自己理解とコミュニケーションの支援を目的とした情報提供で、医療診断、精神疾患の判定、治療、採用判断、人事評価を目的としたものではありません。
自分では書きにくい部分を埋める
いちばん多いのは、自分の傾向を自分で言葉にできないことです。自覚しているのは目立つ部分だけで、周囲との差が出る部分ほど「当たり前」だと思って書き漏らします。もう一つは、書けても相手に渡せる文章にならないこと。自己分析のメモは自分用の語彙で書かれているため、そのまま渡しても伝わりません。
Personal Insight Report は60問の回答から、性格・価値観・対人傾向・ストレス反応・仕事/学習スタイルを整理し、相手別(親・友人・教師・上司・パートナー・AI向け)にそのまま渡せる説明文まで作ります。各項目にどの回答が根拠になったかも一緒に表示します。完成版と同じ構成のサンプルを全項目公開しているので、先に中身を確かめられます。
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